diediediekirai

通院記録

「HSPブームの功罪を問う」を読んだ話

最近はめっきり読書の機会が減ったのだが、いろいろと時間が取れたので図書館に行って借りてきたので早速読んだ。

読書感想文にもならない日記になるが、とりあえず読んだ結果面白かったので記録として日記として書く。

 

先日発達の民同士で話していた時、ふとHSPについて話題に出したのだが、その時にいろいろと盛り上がって楽しかったのでこの本を借りるに至った。

HSPの人というのは「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」とのことで、その特徴として主に

・考え方が複雑、深く処理をする

・過剰に刺激を受けやすい、敏感で疲れやすい

・全体的に感情の反応が強く、共感力が強い

・些細な刺激を察知する、あらゆる感覚がするどい

というものがあるらしい。

この辺りについてはググるとすぐ出てくるし、HSPという単語でみんなどういう人かは連想可能な時代だと思うので深くは記述しない。

人の気持ちが全然わからないせいで逆にメンタルが死んでいる私とは対極を生きる人類、それがHSPなのだ―――。

それゆえになんとなくずっと気になっている存在だったのだが、最近何気なくツイッターを検索するとHSPについての情報発信を行っているアカウントが大抵HSPの人のことを「HSPの人」とは呼ばずに「HSPさん」「繊細さん」と結構な割合で敬称付で呼んでいるのが気になった。我々発達の民はあまり他者である民のことを「ADHDさん」とか「発達さん」とは呼ばない気がするので。

そしてその特性を持つ人たちをこういう風に敬称付で呼ぶことについて何となく、本当に何となくうーん、と感じた。この何となくという感覚をうまく言語化できないが、どうにか言語化すると「もしかしてHSPの人って自らのその特性について『やだなぁ、困ってるんだよなぁ』と感じながらも肯定的に捉えているのか」という疑問であり、だとすれば相いれない感じ、だろうか。

そして相いれないがゆえに興味がわいた(最悪の人類)。

つまるところ私はHSPという世界・界隈を、深淵を覗き込むがごとく、眺めているのだ。

要するにあまり私はHSPに寄り添った位置にはいない。私はHSPの人と仲良くなってみたいのだが、対極の民なのでおそらく3回ほど会ったらHSPの人に嫌われるか、あるいはメンヘラにしてしまうだろう。ゆえに深淵からそっと覗くにとどめている。

ちなみに民同士で話したその日は互いにネット上のHSP診断みたいなものをやってみたのだがとても楽しかったので、同じ特性がある人類同士で交流する際は一緒に診断してみると盛り上がるかもしれないし、「あるある~」とホッとできるかもしれないのでおすすめ。

なお私は今回含め過去に5回ほどこのHSP診断をやってみたのだが、5回中4回は「あなたはHSPではなさそうです」という結果を叩き出してしまった。「今回こそはHSPだって言わせてみせるぜ!」と意気込んで取り組んだのだが…。

 

前置きがあまりに長くなったのだが、この本はそもそもタイトルからしてどちらかというとHSPという概念について肯定的な本ではないように感じた。

本の内容としては①HSPというものの解説、②ブーム到来について、そして③このHSPという概念が広まった結果どうなったのかということについて書かれている。

特に印象に残ったのは③の部分で、本当は何らかの精神疾患や障害があるかもしれないのに、HSPという型に当てはめて納得してしまうことで病院に行かなくなってしまうことへの危機感についてだった。

そう、HSPは別に病名ではないので、仮にHSPだったとして世の中どうにかなるわけでもないのだ。HSPだから助けてくださいと言っても何の配慮もなければ支援もない。ツイッターでしんどいよね~と言い合って終わってしまう。

しかしながらこれが発達障害だったら、うつ病だったら、等々、本当に何か問題がある人類だったら何らかの支援が受けられるわけだ。投薬だったりデイケアだったり認知行動療法だったり。あるいは自立支援、手帳、いろいろ。オープンにする覚悟があればある程度の配慮だってしてもらえるかもしれない。

要するに、「マジ病み。。。しんど。。。なんでこんななんだろ…」と悩む人類がいたとして、これで病院に行けば生活がしやすくなる治療なり支援なりに結び付くかもしれないのに、HSPという自己診断、あるいは親による診断で終わってしまったばかりにただただ生きにくい日々、死にてえ~~~~という日々を送る可能性があるという話である。

ちなみに後半では某クリニックについても触れられていて、名前は出さないまでも発達の民ならみんな聞いたことはあるかもしれないあのクリニックについて書かれていた。非常に特徴的な診断を行うあのクリニックだ。こう書けばみんな察するだろう。

他にもHSP専門カウンセラーについても書かれていたりして、気になって調べたのだがHSPの人限定HSP専門カウンセラーなんてものもあるらしい。すげえな…と思いつつ眺めていたが、こういうカウンセラー講座受講者・修了者限定の交流会なんかも定期的に開催されているらしく、それはちょっと羨ましかった。

なんとなく自分と同じ特性を持つ人類同士の交流に憧れがある。

だから精神科デイケアとかに行ってみたいのだが、前の病院に通っていたときデイケアに参加してみたいと言ったらGOサインは出なかった。どうして……。

 

とりあえず、HSPというものについてどちらかというと否定的かもしれないこの書籍なのだが、それでもどちらかといえばこの本はHSPの人、あるいはHSPの子供を持つ親向けの本なのだろうとも思う。

とにかく自分の特性ゆえに生きにくい日々を送っていて、HSPだから仕方ないと自分を納得させながらも仕事がしんどすぎて夜中にカミソリを握りしめている誰かに救いがある事を、深淵の向こう側から祈っている。